2013年12月25日 アキヨシアザミ − その5

花が終わった頭花の中で見つけた昆虫は、「ゴボウゾウムシ」と判明しました。

(アキヨシアザミの頭花に入っている虫については、11月3日と、11月9日に書いてきました)

12月5日に、頭花の中にいた成虫(地獄台)と、蛹(帰水上のカルストロードわき)を採集、
秋吉台エコミュージアムを通して、昆虫専門の学芸員(萩市)に、届けてもらいました。

12月18日、電話で、ゴボウゾウムシと教えていただきました。
「ゴボウゾウムシは、山口県に分布しているが、数は多くない」とのこと。


【@乾燥した頭花のあとを抜いたら、出てきました。体長は1cm弱。 − 13:12:26】
13.12.5 撮影

            【Aおよそ4分後に立ち上がりました。完全な姿です − 13:16:03】
                         13.12.5 撮影

     【B別の頭花を抜いたところ、上向きに入った虫の黒い背中が見えました − 13:27:15】
                         13.12.5 撮影

            【C @〜Aの個体が盛んに動き始めました − 13:27:22】
                         13.12.5 撮影

               【D Bの個体が、頭花から抜け出ました − 13:28:05】
                         13.12.5 撮影
                                 
【Dを拡大しました】
13.12.5 撮影

この後、初めの個体を捕まえようとしたら、石灰岩の細い割れ目に落ち込んでしまったので、
Dが動き回るまで待って、捕まえ、エコミュージアムへ。
「山口むしの会」のGさんが来られるのを待って、エコの田原さんが調査を託してくれました。

Gさんがエコに滞在中に、友人が幼虫を確認していたアキヨシアザミを見に行ったら、
蛹が1つ出てきたので、(幼虫・成虫はいなかった)、その蛹も持参してもらいました。

* * * * *

        【E今日、11月23日に熟していなかった痩果を確認に来ました − 真名ヶ岳】
                         13.12.25 撮影
                        
      
アキヨシアザミ Cirsium calcicola〈秋吉薊〉(キク科 アザミ属 モリアザミ節) 
                                            花期は9〜11月。
       山口県秋吉台の特産で,晩秋に頭花を上向きに咲かせるアザミ。
       日本固有種.
       根はゴボウ根のように肥大し,斜めに伸びる.
       茎は高さ0.6-1 m,直立し,単純あるいは上部で分枝し,枝は鋭角的に伸びる.
       根生葉は花期には生存しない.
       下部の茎葉はやや革質で,披針形,長さ10-18 cm,
       細かい鋸歯縁となり,羽裂することはない.
       両全性.
       頭花は長い柄の先に単生し,直立して咲く.
       総苞は椀形〜筒形,生時で直径1-1.5 cm,標本で直径2-3 cm,
       総苞片は8?9列,圧着〜斜上あるいは短く開出し,
       外片は狭卵形,内片の1/3以下
,多少ともクモ毛がある.
       腺体は倒卵状披針形で各片にあるが発達が弱く,
       ふつう総苞は粘らない.しかし,個体によってはかなり粘るものもある.
       小花は淡紅紫色,長さ16-18 mm,
       狭筒部は広筒部の二倍長.
       痩果は上部1/4は灰褐色,下部3/4は暗紫褐色,長さ約4 mm,冠毛は長さ12-14 mm.
       山口県秋吉台に分布し,石灰岩地の乾いた草原に生える.
       染色体数不明.

       中井猛之進により独立種として記載された後,
       北村四郎によってモリアザミの変種とされた.
       以来,アキヨシアザミはモリアザミの変種として扱われてきた.
       しかし,アキヨシアザミは,
       葉は細かい鋸歯縁となって羽状に切れ込みことがなく,
       総苞片が8-9列で,
       腺体が明瞭に認められることではっきり区別される.
       モリアザミは非石灰岩地にも生えるが,アキヨシアザミは秋吉台以外では知られていない.


    【Eを拡大しました − 虫は見えませんでしたが、痩果ができている頭花は3つだけでした】
                         13.12.25 撮影

          【F痩果は上部1/4は灰褐色,下部3/4は暗紫褐色,長さ約4 mm
                         13.12.25 撮影

                   【G今日までで一番特徴が出ていた痩果は】
                         13.11.8 撮影
                    

今日で、私が確認していたアキヨシアザミの乾いた「頭花のあと」は全て開き終えました。

アキヨシアザミは、
乾いた石灰岩地で、生き続けているものの増えず、山口県のカテゴリー「絶滅危惧TA類」です。
その原因の1つに、「頭花の中に産卵されたゴボウゾウムシの幼虫の餌となるため、
できる痩果が少ない」 ということがあると、言えるのではないでしょうか。


ゴボウゾウムシが、アキヨシアザミ以外の頭花の中にいるのか、調べてきた結果は、
・イズモアザミ(大株が数本かたまって、1ヵ所)には、ゼロ。
・チョウシュウアザミ(湿った場所に大型の群落が数ヵ所、頭花は多数。痩果も多数確認)には、
 まれにに幼虫を確認。

これで、今年のアキヨシアザミの観察を終わろうと思います。


※ 2013年10月から、DNA分類体系準拠の新科名を書いています
※ 日記の花期は、私が秋吉台で調べてきたものを使用しています。


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