2014年 6月7日  長登のコバノミミナグサ



先日、国立科学博物館の門田裕一先生からの依頼で、松井さんと2株を採集、送付しました。
続いて、松井さんが、長登周辺の鉱山跡で同様のミミナグサを採集されたので、発送しました。


【①県立山口博物館から『コバノミミナグサ』と聞いている、長登のミミナグサです】
14.6.7 撮影

     コバノミミナグサ〈小葉の耳菜草〉(ナデシコ科 ミミナグサ属) 花期は3~10月。
    伊吹山石灰岩地帯に固有で、日当たりのよい場所に成育する多年草。
    茎は赤紫色を帯び基部から枝分かれして株立ちとなり、高さ30cm前後となる。
    葉は卵形で、長さ2-3cm。
    茎の先の花序にまばらに花をつける。
    萼片は長さ5mm前後。花弁は萼片よりやや長く、長さ7mm程度。
    雄しべの花糸にはまばらに細い毛があるが、
    非常に細いため、確認するにはルーペが必要である。



【①を拡大しました - 鉱滓置き場跡を中心に、大きな株を作って咲いています】
14.6.7 撮影
                                 
【②】
14.6.7 撮影

【③】
14.6.7 撮影

【④ - ③の下方の葉】
14.6.7 撮影

【⑤ - ③の茎につく葉】
14.6.7 撮影

【⑥】
14.6.7 撮影

【⑥を拡大しました】
14.6.7 撮影

【⑦萼に密生している腺毛が撮れました】
14.6.7 撮影

【⑧昨年の画像から - 花糸に付いているのは何?花粉?】
13.4.15 撮影


◇ 国立科学博物館の門田裕一先生が、『秋吉台で出会った花 改訂版』に、
 「最後に一言、この植物図鑑には幾つかの宿題が含まれています。そのうちの一つは9ページ掲載の
 コバノミミナグサです。伊吹山特産とされてきたコバノミミナグサが秋吉台にもあるというのです。
 私は両方とも生きた状態で見ていますが、姿形だけではなく、生育状態も違っているように思えます。
 伊吹山は私にとって少年時代に眺めて育った山です。その伊吹山の植物の正体を明らかにするため
 にも、近いうちにこの問題に決着を付けたいと思っています」。

◇2005年5月16日、絶滅危惧種調査で長登のコバノミミナグサを見に来られた三宅貞敏先生は、
  「コバノミミナグサの同定には、花糸に毛があることが条件」と、様々な場所の花糸を見られました
  が、どれにも毛が見えないとのことで、
  「私は、山口県にコバノミミナグサがあるとは、よう言わん」と。

2005年5月21日、植物写真家の永田芳男さんも同様な意見でしたが、
  「コバノミミナグサに近いのもある。ヘビノネゴザが群生しているということは、ミミナグサが銅の影響
  を受けて、この型になっているのかも。
  コバノミミナグサの花は、タカネミミナグサと見間違うくらい大きいのです」。

☆門田先生が近日中に伊吹山に行かれ、伊吹山・山口県の両方の生品で調査されるそうです。
 調査結果が出るのを楽しみに待ちましょう。



※ 2013年10月から、DNA分類体系準拠の新科名を書いています

※ 日記の花期は、私が秋吉台で調べてきたものを使用しています。

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