2018年 9月6日  ヒメイヌビエ



9月2日、湿地のツルマメのそばに生えていた高さ1mあるイネ科がイヌビエであると知り、
ずっと「イヌビエ」と記録してきた小型のものは、「ヒメイヌビエ」だということが分かりました。

【@高さ30cmほどが群生したのを撮影 − 林道わきで】
18.9.6 撮影

            ヒメイヌビエ Echinochloa crus-galli (L.) P.Beauv. var. praticola Ohwi
                         〈姫犬稗〉(イネ科 イヌビエ属) 花期は 6〜9月。
           日本全土の中生草原に生えて、7月に出穂し、全体がイヌビエより小さく、
           芒はない。
            − 改訂新版「日本の野生植物2」 −

           すこぶる多型のイヌビエの一型で、次のような特徴をもつ。
           イヌビエが湿地を好むのに対し、
           中生(乾地でも湿地でもない中間の)草原に生える。
           全体がほっそりしていて、葉身の幅は5-8mm、
           葉のへりが白く硬化することはない。
           花序の枝はまばらで短く、長いものも再分枝することはまずない。
           小穂は長さ2.2−3mm、まばらに硬い毛が生え、
           穎の先が芒となることはない。
           花期:7〜9月。
           分布:北海道、本州、四国、九州、琉球、朝鮮、台湾。

           イヌビエが河床などしばしば水に浸るようなところに群生、
           葉幅も花序も長大となって、花序が長い芒におおわれたものがケイヌビエ、
           中生の草原に生えて、葉幅も花序も小さく、無芒となったものが
           ヒメイヌビエと考えると、生態と形態が結びついてくる。
            − 「日本イネ科植物図譜」 −

【A高さ30cmほど − 全体がほっそりしていて、葉身の幅は5-8mm
18.9.6 撮影
                                 
【Aを拡大しました − 葉身の幅は5-8mm、葉のへりが白く硬化することはない
18.9.6 撮影

【Aを拡大しました − 花序の枝はまばらで短く、長いものも再分枝することはまずない
18.9. 6撮影

【Aを拡大しました − 小穂は長さ2.2−3mm、まばらに硬い毛が生え
18.9.6 撮影

【B花序の枝に近づいて −小穂はまばらに硬い毛が生え、穎の先が芒となることはない
18.9.6 撮影

【C上方の花序枝を − 小穂はまばらに硬い毛が生え、穎の先が芒となることはない
18.8.6 撮影

 ずっとイヌビエとして開花確認し、記録してきた小型のイヌビエ属は、ヒメイヌビエでした。

 重要な参考文献「秋吉台国定公園の高等植物目録」には、
 イヌビエが、『広谷、植山、道べりに普通』で、ヒメイヌビエはないし、
 秋吉台を歩き始めた時に、先輩たちにイヌビエと教えてもらいました。
 何の疑いもなく20年近く、ヒメイヌビエをイヌビエとしてきた次第です。
 ※「山口県産高等植物目録」に、ヒメイヌビエは『ごく普通』とありました。

 日記に、分かりやすいケイヌビエを書いて、イヌビエ属に目が向くようになり、
 大きな間違いを見つけることができました。
 イネ科、面白くなってきました。頑張ります。


※ 2013年10月から、DNA分類体系準拠の新科名を書いています

※ 日記の花期は、私が秋吉台で調べてきたものを使用しています。

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