アワコガネギク Chrysanthemum.boreale〈泡黄金菊/別名キクタニギク〉 (キク科 キク属) 花期は 10~11月。 黄色い小さな花が密集して咲く様子を泡に例えたもの。 別名は菊渓菊で、京都北山の菊渓にちなむ。 山麓のやや乾いた崖などに生える高さ1-1.5mの多年草。 茎は叢生し、上部には白い軟毛が多い。
葉は長さ5-7cmの広卵形で羽状に深裂し、裂片の先はとがり、
基部は切形またはやや心形。
頭花は黃色で直径約1.5cm。 総苞は長さ約4mm。
総苞片は3~4列で覆瓦状、外片は線形または狭長楕円形。
痩果は長さ1mm。
染色体数2n=18。
分布:本州(岩手県~近畿地方)・九州(北部)
【②今夏の強乾燥の天候が気になって、何度も見に行ったアワコガネギクの今は】
16.9.29 撮影
◇Sさんからのメールの要約です。
「山口県内のアワコガネギクについては、これまで自然分布では確認されていなかったはずです。
ただ、道路の法面工事の種子吹きつけによるものだろうと推測されてます。
県内の他の場所でも生育が確認されているようです。
しかし基本的には、自家不和合で種子に稔性がないため、その株が枯れると
無くなってしまうことが多いはずです。
なお、谷口先生によると他県で、自家不和合でないアワコガネギクも見つかっているようです」。
◇中沢→Sさん
「友人が、昨秋、Sさんが採取された株の残り(茎の上の部分)を菊作りの人に教えてもらい
小さく切ったすべてを差しました。今、10本くらいが根付いて、蕾をつけています。
『県内でほかに自然に生えていないのに、あちこちで見られるようになると困るから
地面には植えないでください』と、友人にお願いしてあります。
現在ポットにある、その小さな株たちを
自生株の根元近くに移植するのは良いと思われますか?」
◇Sさん→中沢
「これが、分布を広げるものならやめた方がいいと思いますが、
まあ、遺伝的に同じ株ですから、植えた株同士でも稔性のある種は
普通できませんので、今ある株の場所に植えられるのであれば問題はないと思います。
近くに、6倍体の野生菊であるシマカンギクや、栽培菊が生育していて、
交雑して4倍体の菊ができてしまう可能性があれば、問題だとは思います。
現状では可能性は低いと思います。
今のところ山口県には4倍体の野生菊はありませんので。
道路の法面工事で、他県の種子が入ってきた可能性が大きいので、
残念ではありますが、いずれはなくなることが自然だとは思います」。
「日本国内のシマカンギクには4倍体(2n=36)染色体数36本のものと
6倍体(2n=54)染色体数54本のものがあります。
混ざって生育することはなく、分布がはっきり分かれています。
中国地方、九州北部のシマカンギクは6倍体、九州南部は4倍体です。
ただ、中国地方にも、広島の蒲刈島など、一部地域には4倍体が生育します。
ですから、山口県内の黄花の野生菊は、ニジガハマギク、サンインギク
とか言われているものを含めてすべて6倍体です。
それと、光市の虹ヶ浜より東側の海岸に生育するノジギクも6倍体です。
また、栽培菊の小菊は、色や花の形態に関わらず、ほとんど6倍体です。
したがって、野生菊と栽培菊の雑種も普通にできています。
リュウノウギクが萩市から須佐の山沿いに分布していますが、
これは2倍体(2n=18)染色体数18本です」。
※ 2013年10月から、DNA分類体系準拠の新科名を書いています。
※ 日記の花期は、私が秋吉台で調べてきたものを使用しています。
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