2020年 1月10日 アキヨシミミナグサ |
アキヨシミミナグサ Cerastium akiyoshiense Kadota〈秋吉耳菜草〉 (ナデシコ科 ミミナグサ属) 花期は1〜10月。 山口県秋吉台周辺の銅山跡地に生育する高さ10-20cmの多年草。 茎は上部で分枝し、多細胞の長毛があり、上部に腺毛を混じえ、 しばしば黒紫色をおびる。 茎葉は楕円形〜倒卵状楕円形、長さ5-20mm、幅2-5mm、 両面ともに無毛あるいは下面中肋に沿って長毛があり、鋭頭、 上部の茎葉は無柄、下部の茎葉は基部が次第に狭まった葉柄状となる。 花期はふつう3〜7月。 花はまばらな集散花序に10個内外つき、 花柄は長さ3-12mm、腺毛が密生する。 萼片は卵形、長さ3.9-4.3mm、鈍頭、辺縁は膜質で、長毛と腺毛がある。 花弁は白色、長さ4.5-5.5mm、倒卵状楕円形、 先端から1/5〜1/4まで2浅裂し、無毛。 雄蕊は無毛、葯は円形、径0.4mm、黄白色。 刮ハは長さ6.5-8.8mm、10歯があり、少し湾曲する。 種子は腎円形、径約0.6mm、赤褐色、細かい楕円体状の突起がある。 染色体数2n=70。 過剰な銅に対する耐性をもち、銅鉱山跡地に生え、 ときに純群落状態となる。 同じように銅耐性をもつヘビノネゴザと同所的に生育することも多い。 − 改訂新版「日本の野生植物4」 − 山口県美祢市美東町の秋吉台からミミナグサ属(ナデシコ科)の1新種、 アキヨシミミナグサCerasitum akiyoshiense Kadota を記載した。 アキヨシミミナグサは秋吉台の東縁に点在する銅山跡地に生える多年草である。 本種はかって伊吹山固有のコバノミミナグサC.ibukiense(Ohwi)Kadotaと同一 の植物と考えられた。 しかし、アキヨシミミナグサはコバノミミナグサに比べて、 @花弁が倒卵形でより短く、 A花弁の切れ込みがより浅く、萼片の先が鋭形で、 B萼片がより短く、背軸側に長毛に加えて腺毛があり、 C花梗にも腺毛があり、 D刮ハがより短く、 E葯がより小型である点で異なる。 アキヨシミミナグサの染色体数2n=70は、 ミミナグサ属の中でもこれまでに報告が極めて少ない。 − 植物研究雑誌 第90巻 第5号(平成27年10月) − (抜粋) 【@を拡大しました − 日当たりが良く、水分たっぷりの溝のそばです】 「萼片は卵形、長さ3.9-4.3mm、鈍頭、辺縁は膜質で、長毛と腺毛がある」
※ 2013年10月から、DNA分類体系準拠の新科名を書いています。 ※ 日記の花期は、私が秋吉台で調べてきたものを使用しています。 |