2018年 2月11日  アキヨシミミナグサ


「秋吉台の東麓に点在する銅山跡地に生える多年草」

「アキヨシミミナグサには、大陸系のミミナグサ同様に『有花茎(有花枝)』と『無花茎(無花枝)』の2種類がはっきりと見られます。
『有花枝(有花茎)』は花が終わるとやがて枯れてしまいますが、『無花枝(無花茎)』はそのまま残り、
やがて伸びてくる『有花茎(有花枝)』をがっちり覆って、押しくらまんじゅう状態で厳しい冬を乗り越えるのです。
(ミミナグサ・オランダミミナグサには無花茎はなく、すべて有花茎で、花が終われば全部枯れてしまう1年性)」


【@今、厳しい冬を乗り越えるための押しくらまんじゅう状態ー『サル団子』も同じ理由で作られます】
18.2.11 撮影

         アキヨシミミナグサ Cerastium akiyoshiense Kadota〈秋吉耳菜草〉
                         (ナデシコ科 ミミナグサ属) 花期は 1〜10月。
        山口県美祢市美東町秋吉台の東麓に点在する銅山跡地に生える多年草。
        茎や花梗、萼片に腺毛があり粘る。
        花弁は狭倒卵形、長さ4.5-5.5mm、1/5〜1/4まで切れ込み、先端は鋭頭。
        葯は直径0.4mm。
        花弁と雄しべは無毛。

        本種はかって伊吹山固有のコバノミミナグサと同一の植物と考えられた。
        しかし、アキヨシミミナグサはコバノミミナグサに比べて、
        @花弁が倒卵形でより短く、
        A花弁の切れ込みがより浅く、萼片の先が鋭形で、
        B萼片がより短く、背軸側に長毛に加えて腺毛があり、
        C花梗にも腺毛があり、
        D刮ハがより短く、
        E葯がより小型である点で異なる。
        一方アキヨシミミナグサはホソバミミナグサとは、
        @花弁がより短く、
        A花柱がより短く、
        B苞が葉状になって、縁に膜状部を欠くことで区別される。
        アキヨシミミナグサの染色体数 2n=70 は
        ミミナグサ属の中でもこれまでに報告が極めて少ない。


【A1つのかたまりを − やがて伸びてくる『有花茎(有花枝)』をがっちり覆って
18.2.11 撮影
                                 
【Aを拡大しました − 1本、有花径が伸びています】
18.2.11 撮影

【B毎年開花が早い湿地に様子を見に来たら…】
18.2.11 撮影

【Bを拡大しました − 伸びた有花径の先に開花していました】
18.2.11 撮影

【C今日は寒いので、花はきれいに開いていませんが】
18.2.11 撮影
昨秋から咲いているオランダミミナグサも、日差しが少ないと、今はこんな状態です。


【D押しくらまんじゅうに花がたくさんつけば】
14.6.7 撮影

【Dを拡大しました − アキヨシミミナグサの“一番きれいな時”】
14.6.7 撮影

【E改訂新版「日本の野生植物4」 に掲載されている全体像です 】
14.6 7 撮影

【F改訂新版「日本の野生植物4」 に掲載 − 花弁は狭倒卵形、長さ4.5-5.5mm、
13.4. 1撮影
「1/5〜1/4まで切れ込み、先端は鋭頭

【Fを拡大しました − 葯は直径0.4mm。 花弁と雄しべは無毛。
13.4.1 撮影

 植物名に「アキヨシ」がつく、秋吉台固有の植物は2種あり、アキヨシアザミとアキヨシミミナグサ。
 アキヨシミミナグサは、
 2015年に門田裕一先生(国立科学博物館名誉研究員)により新種発表されましたが、
 新種誕生のお手伝いができたことは、私が秋吉台を歩き始めてから一番嬉しい出来事です。


※ 2013年10月から、DNA分類体系準拠の新科名を書いています

※ 日記の花期は、私が秋吉台で調べてきたものを使用しています。

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