2015年 11月23日  アキヨシミミナグサ − まとめ



門田先生に頂いたメールと、今年5月27日の観察会でのお話を聞き直し、
私が知り得た範囲内ですが、アキヨシミミナグサの記事のまとめといたします。



1.茎や花梗、萼片に腺毛があり粘る。 (コバノミミナグサには腺毛はなく、粘らない)
        2.花弁は狭倒卵形、長さ4.5-5.5mm、1/5〜1/4まで切れ込み、先端は鋭頭。
(コバノミミナグサは倒卵形、長さ5.5-6.5mm、1/4〜1/3まで切れ込み、先端は鈍頭
以上から、秋吉のはコバノミミナグサではないと言えます。では何なのか。

世界中で約100種あるミミナグサ属のどれとも特徴が一致しないので、新独立種か…。
ダメを押したのが染色体数 2n=70 です。
世界中で、銅山跡地にだけミミナグサ属が生育しているのは、山口県のこの辺りだけで、
和名は、この地の広い地名『秋吉』を付けて、『アキヨシミミナグサ』としました。

従来、日本でミミナグサ属は7種確認されていましたが、アキヨシミミナグサで8種となりました。

【@】
15.5.26 撮影

          アキヨシミミナグサ Cerastium akiyoshiense Kadota〈秋吉耳菜草〉
                         (ナデシコ科 ミミナグサ属) 花期は 3〜10月。
        山口県美祢市美東町秋吉台の東麓に点在する銅山跡地に生える多年草。
        茎や花梗、萼片に腺毛があり粘る。
        花弁は狭倒卵形、長さ4.5-5.5mm、1/5〜1/4まで切れ込み、先端は鋭頭。
        葯は直径0.4mm。
        花弁と雄しべは無毛。

        本種はかって伊吹山固有のコバノミミナグサと同一の植物と考えられた。
        しかし、アキヨシミミナグサはコバノミミナグサに比べて、
        @花弁が倒卵形でより短く、
        A花弁の切れ込みがより浅く、萼片の先が鋭形で、
        B萼片がより短く、背軸側に長毛に加えて腺毛があり、
        C花梗にも腺毛があり、
        D刮ハがより短く、
        E葯がより小型である点で異なる。
        一方アキヨシミミナグサはホソバミミナグサとは、
        @花弁がより短く、
        A花柱がより短く、
        B苞が葉状になって、縁に膜状部を欠くことで区別される。
        アキヨシミミナグサの染色体数 2n=70 は
        ミミナグサ属の中でもこれまでに報告が極めて少ない。

【A】
15.5.26 撮影

 秋吉台エコ・ミュージアム 特別展 『新種アキヨシミミナグサ』 を今日で終了しました。

 B3版に写真をプリントしてくださった上に台紙に貼っていただいたり、ポスターの作成など、
 親しくしていただいている機関の責任者の方や友人に、何から何までお世話になったお陰で、
 私にはこれ以上は出来ない特別展を開くことが出来ました。
 心からお礼申し上げます。
 ありがとうございました。
 

※ 2013年10月から、DNA分類体系準拠の新科名を書いています

※ 日記の花期は、私が秋吉台で調べてきたものを使用しています。

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